診療案内結石治療

尿路結石症

尿路結石症について

尿路とは、腎臓から尿管・膀胱・尿道に至る尿の通り道のことを言います。この尿路に結石が存在する病気を尿路結石症と言います。結石はほとんどが腎臓で作られます。結石の存在部位によって、上部尿路結石(腎結石、尿管結石)と下部尿路結石(膀胱結石、尿道結石)に分けられ、上部尿路結石が全体の約96%を占めています。結石が尿の流れに乗ってスムーズに排出されれば問題ありませんが、尿路に留まると、上部尿路結石の場合、腰背部痛、血尿などの症状が出現することが多く、嘔気や嘔吐を伴うこともあります。10 mm以下の大きさであれば自然排石の可能性がありますが、排石しない場合は、腎臓の機能障害や、尿路感染症による腎盂腎炎を引き起こす可能性があるため、結石破砕治療が必要になります。

尿路結石症の症状

結石の位置によって症状が異なります。

腎臓結石
結石があるだけであればほとんど症状はありません。結石の位置や大きさによって、背部痛、血尿を起こします。
尿管結石
結石が尿管にはまり込むことで、腎臓での尿の圧力が高まり、左右どちらかの背部痛、下腹部痛、嘔気、嘔吐、血尿を起こします。結石の位置が尿管の低い位置にあると、頻尿症状や残尿感を起こします。また、細菌感染を一緒に起こすと高熱を起こします。多くは急激な強い痛みを引き起こし救急外来を受診することが多いです。しかし症状がなく長期に結石がはまり込み、気付かない内に腎臓に悪影響を及ぼすことも珍しくありません。
膀胱結石・尿道結石
下腹部痛、排尿時痛、排尿困難、血尿を来します。症状が少なく長期間膀胱内に結石が存在すると数 cmにも大きくなることもあります。

尿路結石症の検査・診断

上記の様な症状があり、尿路結石が疑われた場合は検査を行います。尿路結石の検査には、尿検査、腹部超音波検査、腹部レントゲン検査、腹部CT検査があります。多くは、レントゲン検査やCT検査といった画像検査で結石の存在を確認することで診断します。(レントゲン検査、CT検査は放射線を利用した検査です。)
また、膀胱結石や尿道結石の場合は、直接、尿道・膀胱にカメラを挿入し、結石を確認することもあります。

尿路結石症の治療について

結石の大きさが10 mm以下であれば自然排石の可能性がありますが、大きい石ほど排出されにくくなります。排石される期待があれば、鎮痛剤を使用し痛みを抑えながら、自然排石するのを待ちます。(2~4週間程度)。結石を排出しやすくするために、飲水量を増やすことが大切です。目安として1日2リットルを目標にします。
結石が自然排石されず、痛みが続いたり、腎機能障害を引き起こす時は、結石を割る治療(破砕手術)が必要になります。以下に詳細を示します。

体外衝撃波結石破砕術(ESWL)

ESWLは、体外で発生させた衝撃波を集束させて、これを腎結石や尿管結石に伝え、結石を破砕する治療法です。結石が破砕され小さくなると、尿の流れとともに自然に排出されます。ESWLの利点は、全身麻酔や腰椎麻酔などの麻酔の必要がないこと、身体に傷をつけず低侵襲な治療であることです。当院では一泊二日の入院で治療をおこなっております。治療時間は45分から60分です。治療の限界としては、大きい結石や、硬い結石では満足に破砕ができず、結石が排出されないことがあります。また結石の位置によっては衝撃波が届きにくく、破砕できる確率が落ちます。合併症として、疼痛、血尿、腎皮膜下血腫、破砕した結石が尿の流れの途中でつまり、細菌感染を併発することがあります。

経尿道的尿管結石破砕術(TUL)

TULは、尿道から内視鏡を挿入し、結石を直接カメラで見ながら破砕する方法です。直線の内視鏡や、曲がる内視鏡を用いて、細い尿管の中に入っていきます。尿管や腎臓にある結石を見つけたら、レーザーなどの破砕装置を用いて結石を細かく割ります。取り出せる大きさまで結石を割り、網のような鉗子(バスケットカテーテル)を使って結石を体外へ取り出します。直接カメラで結石を確認しながら行う手術なので、ESWLに比べて確実に結石破砕、回収が可能です。手術時間は1~2時間、麻酔方法は下半身麻酔科か全身麻酔で行います。当院では、入院期間は3泊4日で行っています。直接内視鏡を挿入する手術のため、ESWLに比べ侵襲がある治療になります。合併症としては、発熱、腎盂腎炎、敗血症、尿管損傷、尿管狭窄などがあります。また、結石が2 cmを越える大きな結石の場合、1回の手術ではすべての結石を破砕・回収することができない可能性があります。その場合は、後日改めて手術を行います。

経皮的腎砕石術(PNL)

背中から直接腎臓に内視鏡カメラを挿入し、結石を割る手術です。腎臓にある大きな結石(2 cm以上)や複数の結石に対する治療法です。前述したESWLやTULでは破砕が困難な場合に選択されます。全身麻酔にてうつぶせの姿勢をとり、背中から腎臓に向かって針を刺します。それを利用しトンネルを作成し、腎臓の中に内視鏡を挿入します。内視鏡からレーザーや破砕装置を使って結石を破砕します。手術時間は2時間程です。入院期間は5泊6日程ですが、状況により前後します。術後は一時的に背中から体外に尿を出す管(腎ろう)を留置します。術後問題なければ1~2日で抜去します。手術による合併症として、出血、感染症、腎機能低下、周囲臓器損傷などがあります。

最近では、TULとPNLを組み合わせた手術も行っております。TULとPNLの利点を両方利用することで結石をより効率的に破砕するための方法です。TULとして尿道から内視鏡を挿入し、同時にPNLとして背中からも内視鏡を挿入し、それぞれから結石を破砕します。大きな腎臓結石が適応となります。入院期間はPNLと同様で、5泊6日程度です。