診療案内ロボット支援手術

ロボット支援手術

ロボット支援手術について

愛知医科大学病院では2012年5月に内視鏡手術支援ロボットda Vinci S(ダ ヴィンチ)(米国インテュイティブ・サージカル社製)を導入し、前立腺がんに対する根治的前立腺摘除術(RARP)を開始いたしました。2015年10月にはda Vinci Sからda Vinci Xiに更新しています。この機種は従来機種と比較し、さらに優れた操作性と視野を持ち、手術を受ける患者さんに大きなメリットがあると考えております。

当院で2021年5月現在で行えるロボット支援手術は下記です。

da Vinci はロボット部と操作部、助手用のモニターなどで構成され、ロボット部には先端に鉗子やメスなどを取り付ける3本のアームと1本のカメラが装着されています。術者はケーブルでつながったコンソール(操作台)に座り、中に映し出される3D画像を見ながらアームを操り、患部の切除や縫合をします。
da Vinci を用いたロボット手術のメリットとしては以下のことが挙げられます。

  1. 傷口が小さく、低侵襲で手術後の痛みも少ないことから回復が早く、早期退院が可能です。腸管を切除するロボット支援膀胱全摘除術(RARC)を除いて、当院でのロボット支援手術を受けられる95%以上の方の入院期間は、5〜10日です。
  2. 術者は鮮明な3D画像下で手術を行うことができ、奥行きのある、しかも拡大された画像によって、今までとは比べものにならない精緻な手術が可能となり、従来の手術に比べて出血も少なくなります。
  3. 人間の手首以上の可動域があり、手ぶれのないスムーズな操作で複雑な手術操作が可能です。とくに縫合する(つなぎ合わせる)手術では確実な縫合ができる利点があります。前立腺がんの術後に問題となる尿失禁の回復、膀胱全摘術後の腸管機能の回復も早くなると考えられています。
  4. 常に手術画面を多くの手術参加者で共有できます。手術の安全性を確保できます。

当院においては2012年5月に第1例目のRARPが施行されて以来、700例以上の治療実績を積んできております。また前立腺全摘のみでなく膀胱全摘除術(RARC)、腎部分切除術(RAPN)に保険適応が拡大されています。当院では、保険適応前の2014年7月より行っており、より多くの経験と実績があります。さらに最近では、女性の骨盤臓器脱の手術療法としてのロボット支援下仙骨膣固定術(RASC)、ロボット支援腎盂形成術も行っております。今後も患者さんのニーズに応えるべく、常に新しい手術が行えるように尽力しております。
現在、愛知医科大学病院泌尿器科にはロボット手術免許取得者が8名在籍しており、うち3名はロボット支援手術のプロクター(手術指導医)です。
ロボット支援手術は、あくまでも人間が適切に操作することで成り立つ手術です。操作する術者によって、その結果が変わります。当院では、確立されたロボット支援手術を、患者さんの治療の目的を最大限に達成できるように、泌尿器科スタッフ全員で、患者さん個別に手術計画を検討し、技術の習得に努めております。また、手術免許取得者のうちの少なくとも1名が平日の外来診療に必ず携わる体制を取り、患者さんが受診日で迷われることのないよう配慮させていただいております。ご不明な点やご質問のある方は、泌尿器科外来にご遠慮なくお問い合わせください。