診療案内尿路再建

尿路再建

尿路再建とは

私たちは、がんなどの悪い病巣を摘出する手術だけでなく、尿の通り道を作り直す「尿路再建手術(にょうろさいけんしゅじゅつ)」を積極的に行っています。この尿路再建手術の対象となる病気には、尿道狭窄(にょうどうきょうさく:尿道が狭くなり、尿を出すことに困る)や尿管狭窄(にょうかんきょうさく:尿管が狭いため尿管ステントを必要とする)、膀胱腟瘻(ぼうこうちつろう:常に尿が漏れてしまう)などが含まれます。これらの状態は、生命に、直接関わることは少ないです。しかし、生活の質(Quality of Life)に大きく影響します。
愛知医科大学病院泌尿器科では、『解決のための治療が受けられず諦めてしまっている患者さん』に、できる限り元の生活に戻っていただけるよう、診察、治療をしております。これらの病気、状態でお困りの患者さんは、是非、私たちに、一度ご相談ください。

尿道狭窄(にょうどうきょうさく)

尿道には、膀胱から尿が出るための通り道としての役割があります。尿道狭窄は、外傷や手術、感染症などの原因により尿道が狭くなり、尿が出しにくくなる状態です。これまでは、内視鏡的な切開手術や拡張ブジ-(金属の管を通して、尿道を広げるための処置、手術)が主に行われてきました。しかし、この方法には、尿道狭窄が再発しやすいという欠点がありました。私たちは、尿道狭窄症の患者さんに、より成功率が高い尿道形成手術(にょうどうけいせいじゅつ)を積極的に行っています。尿道形成手術は、狭くなった部位を除去し、良い状態の尿道と尿道をつなぎ直す(尿道吻合手術(にょうどうふんごうしゅじゅつ))、あるいは口の中の粘膜を尿道の粘膜の代わりに用いて尿道を作り直すことにより、尿道のカテーテルの留置を必要とせず、尿が出せるように、そして、出やすくするような排尿症状の改善を目指しています。

尿管狭窄(にょうかんきょうさく)

尿管は、腎臓で作られた尿を膀胱まで運ぶ役割があります。尿管狭窄は、過去の手術や放射線、炎症など様々な原因により尿管が狭くなり、尿路感染症(にょうろかんせんしょう:尿に細菌が入り高熱が出る)や腎臓の機能が低下する原因となります。尿管狭窄は、カテーテルやステントなどの管により治療されることが多いですが、定期的な交換が必要です。また、これらは対症療法(一時的な解決の方法)であり、根本的な治療方法ではありません。尿管狭窄に対する手術には、病変の部位により様々な方法があります。膀胱や小腸を用いて再建を行うこともあります。患者さんの病態に最も適した方法を提案させていただきます。

膀胱腟瘻(ぼうこうちつろう)

膀胱腟瘻は、骨盤の手術や放射線などが原因となり、膀胱と腟(ちつ)が穴で繋がってしまう状態です。常に膀胱から膣に尿が流れることにより、尿失禁(尿漏れ)が生じるため、おむつやパッドが常に必要となります。尿失禁は、生活の質が大きく損なわれる状態であり、外出、旅行に苦労する患者さん、尿漏れを減らすために水分をとることを控える患者さんもいます。瘻孔(ろうこう:交通する穴)の位置により、腟のなかを切開して治す手術やお腹を開けて治す手術(開腹手術)など、最も適した方法を検査により、決定し、提案させていただきます。