尿路再建手術
尿路再建手術とは
尿路再建手術は、尿の通り道(尿路)を作り直す手術です。尿路再建手術は、生命に直接関わることは少ないものの、日常生活の質に重大な影響を与える問題に対して行われます。
主な適応疾患
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尿道狭窄
尿道が狭くなることで排尿困難を引き起こします。
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尿管狭窄
腎臓から膀胱へ尿を運ぶ尿管が狭くなり、腎機能障害や腎盂腎炎の原因となります。
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膀胱腟瘻
膀胱との間に穴ができ、常に尿が漏れる状態です。
当院では、これらの問題に対して最適な治療法を提案し、患者さんの生活の質を向上させることを目指しています。
尿道狭窄:原因と症状
尿道狭窄とは
尿道狭窄は、尿道内腔が狭くなり尿の通り道が制限される状態です。この状態が続くと、排尿障害だけでなく、膀胱や腎臓にまで悪影響を及ぽす可能性があります。
主な原因
- 外傷(交通事故や転倒などによる直接的な損傷)
- 過去の手術や処置による瘢痕形成
- 尿道カテーテル留置による長期的な刺激や損傷
- 尿道感染症
典型的な症状
- 排尿困難(尿の勢いが弱くなる)
- 排尿時間の著しい延長
- 頻尿(短時間で何度もトイレに行く必要がある)
- 尿路感染症の繰り返し
しかし、これらの処置は再発率が高く、繰り返し治療が必要になるケースが多いという問題があります。
尿道形成術
尿道形成術は、尿道狭窄を根本的に治療するための手術です。狭窄の部位や程度によって、適切な術式を選択します。
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尿道形成術(端々吻合)
狭くなった部位を除去し、健康な尿道組織同士をつなぎ直す手術です。比較的短い狭窄に適しています。
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代用組織を利用した尿道形成術
長い狭窄の場合、口の中の粘膜や陰茎の包皮を採取して尿道を再建します。
狭窄部位や程度によっては二回に分けて手術を行う場合もあります。 -
難易度の高い複雑化した狭窄への対応
尿道形成術の難易度は、患者さんによって様々です。特に難易度が高いと判断される場合、この領域の専門家である防衛医大学校・堀口明男先生をお招きして、一緒に手術を行なっています。
複雑化した狭窄の場合、手術の成功率が低くなったり、合併症の増加を招くこともあります。
診察後、患者さんの状態に合わせた最適な治療法を提案いたします
尿管狭窄
尿管狭窄とは
尿管狭窄は、腎臓から膀胱へ尿を運ぶ尿管が狭くなる病態です。
尿の流れが妨げられることより、腎機能障害や腎盂腎炎を生じる可能性があります。
主な原因
- 骨盤内手術(婦人科・大腸の手術など)による損傷
- 放射線治療の副作用
- 尿路結石や炎症による瘢痕形成
- 先天的な異常
症状と合併症
- 側腹部の痛みや違和感
- 腎機能の低下
- 繰り返す尿路感染症と発熱
- 高血圧(腎機能低下による)
従来の対症療法の問題点
尿管ステントの定期的な交換(通常3~6ヶ月ごと)は外来で短時間で行えることから、従来よく行われてきました。しかしながら、尿管ステント管理は以下のような問題があります:
- 交換のたびの痛みと差恥心による精神的苦痛
- ステント関連の症状(頻尿、排尿時痛、血尿など)
- 長期的な腎機能の悪化リスク
- 繰り返す腎盂腎炎のリスク
尿管再建手術
適切な手術法の選択
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尿管尿管吻合術
狭窄部分を切除し、健康な尿管同士をつなぎ合わせる手術です。比較的短い範囲の狭窄に適しています。
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尿管膀胱新吻合術
尿管の下部に狭窄がある場合、尿管と膀胱を再吻合します。
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代用組織を用いた尿管再建
長い距離の狭窄がある場合、小腸や虫垂、口腔粘膜などを利用して尿管を再建します。
当院では診察後、患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療法を提案いたします。
膀胱腟瘻
膀胱(ぼうこうちつろう)とは
膀胱膣瘻は、膀胱と膣の間に異常な穴(瘻孔)ができる病態です。この状では、膀胱に溜まった尿が常に腟から漏れ出てしまうため、尿失禁パッドやおむつが常時必要となります。
主な原因
- 婦人科手術の合併症・後道症
- 骨盤内への放射線治療による合併症・後遺症
- 分娩時の損傷(日本では稀です。開発途上国で多い)
生活への影響
- 常に尿が漏れるため、外出や社会活動が著しく制限される
- 尿漏れの量を減らすために水分摂取を控えがちになり、脱水や腎機能障害のリスクが高まる
- 尿の臭いによる精神的苦痛や社会的孤立
- 皮膚炎や尿路感染症の繰り返し
膀胱腟瘻:手術方法
膀胱膣瘻の根治的治療は主に手術によって行われます。
瘻孔の場所、大きさ、原因、患者様の全身状態などを考慮し、最適な術式が選択されます。
経腟的修復術
膣側から瘻孔を閉鎖する手術です
- メリット:身体への負担が少なく、回復が早い。
- デメリット:瘻孔の位置(高い位置や深い位置)や大きさによっては手術が困難。複雑なケースや再発例には不向き。
経腹的修復術
お腹側から瘻孔を修復する手術です。
- メリット:高い位置や大きな瘻孔、複雑なケースにも対応可能。腸管や大網などを介在させることで再発率を低減できる。
- デメリット:経膣手術に比べ身体への負担が大きく、回復に時間がかかる。
希望を取り戻すための第一歩
当院の強み
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専門的な技術と経験
尿路再建手術に精通した医師により、最新の医療技術と設備のもとで治療を行います。
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患者さん中心の医療
一人ひとりの状態に合わせた治療計画を立案し、丁寧な説明と同意のもとで治療を進めます。
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充実したサボート体制
術前から術後まで、看護師や薬剤師を含む多職種チームが患者さんの回復をサポートします。
「治療法がないと言われ諦めてしまっている患者さん」にこそ、当院の専門治療をお勧めします。
長く症状に悩んでいても、改善の可能性があります。
相談窓口
愛知医科大学医学部 泌尿器科学講座
馬嶋 剛(まじま つよし)
Email: tsuyoshi.m.gurs@gmail.com
