診療案内尿路感染症

尿路感染症

尿路感染症とは

尿は左右の腎臓で作られ、尿管という細い管を下って膀胱に溜まります。膀胱に溜まった尿は、尿道を通って体の外に出されます。これらの尿の通り道を総じて尿路と呼びます。
これら尿路の何れかに、細菌、ウイルスなどが住み着き、増殖して炎症を引き起こしたものを尿路感染症と呼びます。細菌は尿道の出口から侵入し尿路に感染します。感染する部位によって、尿道炎、膀胱炎、腎盂腎炎などに分類されます。男性の場合は、前立腺炎、精巣上体炎といった尿路感染症を引き起こすこともあります。
尿路感染症を引き起こしやすくする病気がある場合を複雑性尿路感染症と呼び、それらの病気がない場合を単純性尿路感染症と呼びます。尿路感染を引き起こす病気は様々な病気があります。(尿路結石、尿路のがん、前立腺肥大症など。)複雑性尿路感染症の場合は、尿路感染症の治療とともに、原因となる病気の治療も必要となります。また、尿路にカテーテルなどが留置されている場合も、尿路感染症のリスクが高くなります。

尿路感染症の症状・検査・診断について

感染した部位によって症状は異なります。最も一般的な尿路感染症である膀胱炎では、尿をする時の痛み、尿をした後も尿が残ったような感じ、尿が近い、尿が濁る、血液が混じる、といった症状があります。腎盂腎炎や前立腺炎では発熱を伴います。精巣上体炎では陰嚢の痛みや腫れを認めます。

尿路感染症の検査は、まず尿検査を行います。尿検査にて尿中に白血球があるかどうかを調べます。また採取した尿から細菌培養検査を行い、どのような細菌が存在するかを調べます。(細菌培養検査は3~5日間かかります。)細菌検査は受診時にはすぐに結果が出ないため、後日、抗菌薬が効かない細菌が検出されることがあります。その場合は細菌培養検査の結果から抗菌薬を再度選択し直します。
症状があり、尿検査で白血球が存在すれば尿路感染症と診断します。発熱を伴う場合や、複雑性尿路感染症が疑われる場合は、血液検査や超音波検査、レントゲン画像検査を行う場合もあります。
また、性感染症(STD)による尿路感染症(淋菌感染症、クラミジア感染症、梅毒感染症など)が疑われる場合には、診断のために、それら細菌に特異的な尿検査や血液検査を行います。

尿路感染症の治療について

治療の基本は、細菌を減らすもしくは増殖を抑える抗菌薬を投与することです。抗菌薬は飲み薬と注射の薬があります。多くは飲み薬で治療を行いますが、発熱を伴ったり、感染症の程度が強い場合は、入院が必要とあることがあり、抗菌薬を点滴で使用します。抗菌薬の使用期間は、尿路感染症の部位や程度によります。膀胱炎などであれば3~5日間の飲み薬で治療します。入院が必要な腎盂腎炎や前立腺炎などであれば、7~14日間の治療が必要となることがあります。飲み薬の抗菌薬は症状が改善した後も、処方された日数分を飲みきる必要があります。途中で抗菌薬をやめてしまうと、細菌が再度増えたり、抗菌薬が効きにくくなったりすることがあります。
但し、抗菌薬を使用したことによる副作用やアレルギー反応が出た場合は、薬を中止した上でなるべく早く、薬を処方された病院を受診してください。
また、尿路感染症は尿の流れ道を菌が逆流することで引き起こされます。そのため、水分を良くとることで尿の量を増やし、細菌を尿とともに体外に排出することが必要です。また、尿を膀胱に溜めすぎるのも良くありません。尿路感染症を起こした時は、尿の我慢を控えましょう。