研究紹介

研究紹介

前立腺癌病理研究について

前立腺癌病理研究について

現在、前立腺癌の診療においては、臨床的に予後に影響しないとされる癌の過剰診断・過剰治療が問題となっています。過剰治療に対する対策として、PSA監視療法を行う試みや、局所療法 (focal therapy) の研究が行われています。しかしながら、どの様な患者がこれらの方法を安全に行えるかについて、現在までにはっきりとした診断基準やプロトコールはありません。梶川医師を中心として前立腺全摘標本の3次元解析から、これらの問題解決に有用と思われる生検法を臨床で行っております。また、生検標本や前立腺全摘標本を病理学的、3次元的に解析することによって、前立腺癌の過剰診断・過剰治療を安全に回避できる、前立腺癌の新しい診断体系を提案することを目標に研究を行っております。

論文

PK-PD解析について

抗菌薬の臓器移行性についての検討~前立腺組織中薬物動態力学からの検討~

尿路感染症に対しては種々の抗菌薬が使用されているが、抗菌薬の臓器移行性についての検討は少ない。抗菌薬の適正使用するために、カルバペネム系抗菌薬であるDoripenem(DRPM)の前立腺組織への詳細な移行性の検討および薬物動態-薬力学(pharmacokinetics-pharmacodynamics:PK-PD)評価を国内外で初めて実施した。抗菌薬の血漿中および標的臓器中の濃度を経時的測定することは、全身循環から標的臓器への移行性と標的臓器における抗菌薬の詳細な薬物動態特性を明らかになり、さらに感染部位の主要原因菌のMIC値やカルバペネム系抗菌薬の薬力学パラメータであるtime above the minimum inhibitory concentration (T>MIC)を組み合わせることにより治療効果を予測・評価し、適正な投与法を選択できることを証明した。
meropenem(MEPM)、piperacillin-tazobactam(PIPC/TAZ)、pazufloxacin(PZFX)、flomoxef Sodium(FMOX)についても前立腺組織への詳細な移行性の検討および薬物動態-薬力学(PK-PD)評価を行っており、これらの研究は国際学会、国内学会でその成果を発表している。泌尿器系臓器に対する抗菌薬移行性の研究は、tissue-targeted PK-PD理論に基づいた抗菌薬適正使用のみならず、耐性菌発現抑制にも寄与するものと考える。

論文