診療案内膀胱がん

膀胱がん

膀胱がんは、膀胱から発生する悪性腫瘍です。最初は、無症候性血尿(頻尿や排尿痛といった症状のない血尿)が多い症状です。高齢者に多く、男性が膀胱がんになる割合は女性の約2~3倍といわれています。また危険因子としては喫煙が有名です。男性の喫煙者は非喫煙者と比較して膀胱がんになる割合が4倍高くなるという報告もあります。
膀胱は内から外に向かって粘膜・粘膜下層・筋層・周囲脂肪という構造になっており、一般に、粘膜下層までを表在性がん、筋層まで及んでいるものは浸潤がんとされており、膀胱がんは大きく3つのタイプに分類されます。

<膀胱癌のタイプと深達度>

表在性膀胱がん

悪性度が低く膀胱の内腔にカリフラワー状に発育しており、膀胱の壁(筋層)には浸潤していないタイプ。再発をくり返しやすいという特徴がありますが、生命にかかわることはほとんどありません。

浸潤性膀胱がん

悪性度が高く早期に膀胱の壁(筋層)まで浸潤するタイプです。リンパ節や他の臓器に転移を起こしやすく問題となります。

上皮内がん(CIS)

特殊なタイプとして、上皮内がんがあります。表在性膀胱がんですが、浸潤性膀胱がんへ移行しやすいものであり注意が必要です。

検査

スクリーニングとして、超音波検査(エコー検査)、尿細胞診(尿の中に悪性細胞を疑うものがあるか顕微鏡でみる検査)、膀胱鏡検査(膀胱鏡を使用して、尿を出す尿道口を介して膀胱内を直接観察します)
上記の検査で、膀胱がん、あるいはその疑いが強いと判断された場合には、確定診断として、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)を行います。これは入院のうえ、麻酔下のもとで尿道から手術用の内視鏡をいれ腫瘍を削り取る手術をおこないます。削り取ったがん細胞を顕微鏡で調べ、がんの悪性度と膀胱の壁への深さ(進達度)を診断します。一般的に膀胱の筋肉の層(筋層)まで進んでいないものは表在がん、筋層まで進んでいるものは浸潤がんとみなされます。膀胱がんであっても、表在がんと浸潤がんでは、治療方法も生命予後も大きく違います。局所の広がりや転移の検索のためにCT検査やMRI検査、骨シンチグラフィなどを行います。その結果により、病状のステージを決めます。ステージにより治療法を検討します。

治療

表在性がん

経尿道的膀胱腫瘍切除
浸潤度の低い表在性の膀胱がんの場合は、この術式でがんを取りきることが可能です。手術は、尿道から膀胱に内視鏡を入れ膀胱内の腫瘍を切除します。膀胱内に再発することが多く、再発率を下げるため、手術後に膀胱内薬物注入療法を行うことがあります。早期がんの中にも悪性度が高いものがあり、そのような場合には、早期がんであっても膀胱全摘術を行うこともあります。また再発を早期に発見するために、手術後は定期的な膀胱鏡検査と尿細胞診断や尿検査を随時行ないます。

浸潤がん

がんが膀胱の筋層にまで及んでいるものは進行がんとなります。追加の治療が必要になります。転移や周りの臓器への進行の程度で治療方法はかわるため、CT検査などの画像検査で病期のステージを決めます。ステージの結果で、手術・放射線・抗がん剤を組み合わせた治療を行います。

膀胱全摘術

一般的には、他に転移がない浸潤がんには、膀胱全摘を行います。男性では前立腺や精嚢を同時に摘出します。女性は子宮と膣の一部を同時に摘出する場合があります。また尿道も一緒に摘出する場合があります。さらに膀胱を摘出した後は、尿を体外へ出すための通り道を作る必要があります(尿路変更)。
膀胱全摘術の方法としては、開腹術、腹腔鏡下腎摘除術があります。2018年にロボット支援下の腹腔鏡手術が認可されたため、近年はロボット支援膀胱全摘除術で行われることが多くなり、当院でも導入しております。

薬物療法

薬物療法は、手術だけでは治せないかた、手術が不可能なかた、また手術と併用することで治療効果を期待できるかたに行われます。

化学療法

薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法は注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。化学療法の薬剤は、対象となるがんの種類と病期に応じて異なります。
また免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれる自分の免疫力を強化する抗がん剤が、膀胱癌に対しても使用可能となりました。ヒトは、がん細胞や体内に入ってきた細菌・ウィルスを攻撃して排除しようとします。この働きを免疫機能といいます。がんには免疫機能を阻害して攻撃されないようにするものがあります。この薬剤は、がんが免疫の働きを阻害しないようにすることで、自分の免疫力を強くしてがんをたおしてもらいます。主な副作用としては、免疫機能の働きが暴走することによって、がん以外の自分の正常な細胞を攻撃してしまう自己免疫疾患と同じような事を起こすことがあります。
薬物療法に関しては、使用できる病期や状態などにより適切な判断が必要になります。詳細につきましては当院の担当医にご相談ください。

放射線療法

通常、放射線治療はがんを完治させる目的で行われる事は少なく、合併症予防、症状の軽減や苦痛の緩和などを目的した治療のために行われることが多いです。また骨転移病巣に対して、疼痛コントロール目的で行なう場合があります。