診療案内治療に関するQ&A

治療に関するQ&A

排尿後すっきりしません。何回もトイレに行ってしまいます。異常でしょうか?
一般的には、昼5~6回、夜0〜1回が成人の平均的な排尿回数です。個人差はありますが昼8回、夜2回の合計10回を超えたあたりが頻尿の目安とされています。原因としては、前立腺が尿道を圧迫する前立腺肥大、膀胱が過度に収縮する過活動膀胱、心因性によるもの等があげられます。残尿感を感じるのであれば前立腺肥大のほか膀胱炎などの尿路感染症の可能性もあります。薬物治療で症状が改善される可能性があります。一度当院泌尿器科に相談に来てください。
尿漏れがあり、下着を汚さないようパットが必須です。年のせいで仕方ないのでしょうか?
尿漏れは尿失禁といい、自分の意思とは関係なく尿が排出されてしまう状態です。膀胱や尿道括約筋の機能が低下している場合に発生しやすく、咳やくしゃみ、力を入れた時に尿が漏れてしまう腹圧性尿失禁、突然強い尿意に襲われ我慢ができない切迫性尿失禁など、いくつかの種類に分けられます。重症な前立腺肥大症や神経因性膀胱では排尿困難があるのに尿が漏れ、しかもお腹に力が強く加わると尿漏れの程度が酷くなり、これらは溢流性尿失禁といって放置すると腎機能障害を起こすことがある危険な病態です。一般に若年女性では腹圧性尿失禁の頻度が高く、加齢に伴い、切迫性尿失禁(急な尿意が生じて尿を漏らす過活動膀胱)が加わり、腹圧性と切迫性の混合失禁の割合が高くなっていきます。治療は行動療法と薬物療法、手術療法に分類さ治療は行動療法と薬物療法、手術療法に分類され、大きな改善を期待できる可能性があります。一度当院泌尿器科に相談に来てください。
尿が出にくくて苦しいです。どうしたらよいでしょうか?
急性膀胱炎や尿道炎では実際は膀胱に尿がたまっていないのにのにも関わらず尿意が強くなります。一方で尿閉と言って膀胱がパンパンに貯まっていて尿を出せない状況の可能性もあります。いずれの状態にせよ早急に受診が必要です。高齢男性で飲酒後、咳止めや風邪薬などを飲んだ後は尿閉になりやすいでので、注意が必要です。一度当院泌尿器科に相談に来てください。
血尿が出たのですが、痛くも痒くもなく、すぐに治ってしまいました。様子見ていいでしょうか?
上記のような症状は無症候性肉眼的血尿といいます。若い人では原因不明の血尿や運動後の血尿、筋肉の壊れたミオグロビンという物質で尿が赤(褐色っぽい感じ)がみられる場合など良性の病変もありますが、中高年以上の場合は、泌尿器科の悪性腫瘍の可能性が高くなります。膀胱癌の80%、腎盂尿管癌の60%の初発症状が血尿といわれますので、例え1回きりの血尿であっても、是非診察を受けられることをお勧め致します。
朝一番の尿の色が濃いのですが、心配ないでしょうか?
寝ている時は起きている時と違って抗利尿ホルモンというおしっこを濃縮するホルモンが分泌され、その結果尿は濃くなります。尿中の物質が析出して形成される尿路結石が夜間から朝方にできやすいのもこれによります。また高齢に成ると抗利尿ホルモンの分泌量が減るため、夜間排尿で起きやすくなります。
検尿で尿潜血陽性といわれました。どうしたらよいでしょう?
尿潜血陽性とは目には見えないが尿に血が混じっているということです。尿に血が混じることは異常です。原因を調べてみると尿路の癌、結石、炎症、奇形などが見つかることがありますので、詳しく調べたほうがよいでしょう。
前立腺肥大症と言われました。どんな治療法がありますか?
薬物療法と手術療法があります。前立腺肥大症はその症状、肥大の程度、残尿量、膀胱の機能などにより治療方法が選択されます。最近では、薬物療法により排尿障害等の症状はかなり改善されるようになってきています。しかし、薬で症状が改善しない場合は手術が必要となります。当院ではPVP(光選択性前立腺蒸散術)をおこなっています。従来の手術(経尿道的前立腺切除術;TUR-P)に比べて出血が少ない点、尿道カテーテルを手術翌日に抜いて良好に排尿できる点が優れています。しかも術後の患部の腫れがほとんどないため、痛みが少ない事も優れた点です。
検診でPSAが高いといわれました。PSAとは何でしょうか?
PSAとは、前立腺特異抗原(Prostate Specific Antigen)のことで、前立腺の上皮細胞(腺細胞)から作られる物質です。PSAは血液検査でその値が分かり、前立腺肥大症や炎症、あるいは前立腺癌では高くなる場合がみられます。そのためもしPSAの高い値が続くようであれば一度は前立腺の検査を受けることをお勧め致します。
前立腺癌を早期に発見するにはどうすればよいでしょうか?
前立腺癌に特有の症状はありません。症状の程度で癌を見つけることも出来ません。したがって前立腺癌の早期発見には血液検査(前立腺特異抗原、PSA)と直腸診は欠かせません。とくにPSAの血液検査は重要です。50歳を超えた男性は症状がなくても定期的にPSA検査を受けることが大切です。
前立腺癌かどうかを調べる前立腺生検というのはどんな検査ですか?
直腸診およびPSA検査で前立腺癌が疑われた場合、前立腺生検を行います。前立腺を直腸側から超音波断層法でみながら10~12ヶ所に針を刺して組織を採取する方法です。採取した標本を病理組織学的に検査し癌がないかどうかを調べます。検査後に血尿がでたり、尿が出なくなったりすることがありますので、当院では1泊入院で検査を行っています。
子供の陰茎が包茎といわれました。手術が必要でしょうか?
子供のときは亀頭部が包皮でおおわれた包茎の状態が普通です。包茎には包皮をむくことができる仮性包茎と、包皮をむくことができない完全包茎があります。保健師さんや小児科の先生に手術をすすめられて来院される場合がたくさんありますが、ほとんどの場合、包皮翻転指導(包皮を手でずり下げて亀頭を露出する方法)を行うことにより治療可能であり、一般的に手術は不要ですが感染を繰り返す場合や包皮の嵌頓の程度が強い場合は手術が必要となる可能性があります。
子供が陰のう部を痛がります。学校を休ませてでも病院へ行ったほうがよいでしょうか?
すぐに泌尿器科を受診してください。小児期に陰のうが痛む病気には、精巣炎、精巣上体炎、精巣捻転症などがあります。中でも精索捻転症は大至急治療が必要な病気です。精索とは精巣への血管と精管が束になったものです。精巣が陰のう内で回転し精索がねじれると精巣に血がかよわなくなり、陰のう部に激痛を起こします。発症から時間がたつと精巣は壊死におちいり、将来精子を作る働きが低下してしまいます。早急にねじれを戻す治療が必要です。用手的に捻転をもとに戻せない場合は精巣固定手術をうけておくことが大事です。
腰の辺りに鈍い痛みがあり、熱も高く悪寒がし、震えも出るのですが、ただの風邪ですか?
風邪の症状と似ていますが「腎盂腎炎」のおそれがあります。(風邪では高熱が出ても震えが起こることはありません。)慢性の場合は急性よりも症状が出にくいので詳しい検査を受けてください。
検査の結果「腎盂腎炎」と診断された場合、全身の管理と適切な治療を行うため1週間程度の入院が必要となります。
わき腹から腹部、外陰部や精巣にかけてズキズキと痛み、尿に血が混ざったり、膿が出ます。
「尿路結石症」の疑いがあります。ズキズキと痛むのは、腎臓内で出来た結石が膀胱に下降するときに起こり、そのとき結石が尿路を傷つけるため、尿に血が混ざったりします。また、結石が尿路を塞いでしまった場合に、疝痛発作(吐き気や嘔吐を伴う激痛)を起こすことがあります。疝痛発作を起こした場合、「急性腎盂腎炎」を合併しやすいので、一刻も早く泌尿器科を受診してください。
精巣に硬いしこりができ、痛みは無いのですが陰嚢が大きく腫れ上がってきました。何かの病気ですか?
「精巣腫瘍」の疑いがあります。精巣腫瘍は進行が非常に早く、短期間のうちに体のあちこちに転移します。また、精巣腫瘍と非常に似通った症状の病気もあるので、陰嚢の腫れに気がついたら、恥かしがらずにすぐに泌尿器科で検査を受けてください。
排尿時に尿道に痛みがあり、ウミが出るのですが?
「淋病」や「クラミジア感染症(非淋菌性尿道炎)」などの「性感染症(STD)」が考えられます。
男性の自覚症状には
「淋病」…排尿時に尿道に灼熱感や激しい痛みを感じ、外尿道口が赤くただれて膿が出る。
「クラミジア感染症」…淋病より症状が軽いためわかりにくいのですが、水気の多い薄いウミが出る。
などの特徴があります。しかし、女性には男性ほど自覚症状が出ません。そのため、男性側が病気に気がついたらパートナーの女性と一緒に治療を受けることが重要になります。
精液に血が混じっており心配です。
「血精液症」が考えられます。
精嚢・前立腺から精液が出る管の途中の炎症や、アレルギーなどが原因だと考えられます。
精液に血が混じっても悪性であることは極めてまれですが、高齢者の方は悪性腫瘍があるかもしれないということを念頭に置いて、詳しい検査を受けたほうがいいと思います。
尿が近くなって、時々膣からピンポン玉ぐらいのものが出てくるのですが?
この症状は膀胱が膣のほうへ降りてきて、膣口から膀胱や子宮が顔を出す「骨盤臓器脱」だと考えられます。膣の壁が弱まった時に、骨盤内臓器である膀胱や子宮が落ち込みます。落ち込んだ膀胱は収縮しなくなり機能が低下するため、残尿感があり頻尿になったり尿閉になったりします。当院では膀胱脱、子宮脱に対して手術をおこなっています。一度当院泌尿器科に相談に来てください。
陰膿の表面に血管の蛇行が見られ、痛みを伴い腫れ上がってきました。
「精巣静脈瘤」が考えられます。「精巣静脈瘤」静脈の血液の流れが悪くなるために起こる病気で、主に左側の静脈に起こります。不妊の原因になることもあります。疼痛が継続する場合は手術の必要があります。
会社の健康診断で腹部エコー検査を受けたところ、左の腎臓に直径4cmの嚢胞(のうほう)という病気が見つかりました。泌尿器科を受診したところ、血尿もあると言われました。悪性のものではないとの説明を受けましたが、心配ないでしょうか?
腎嚢胞は良性の病気で、腎臓の尿を作る組織の中に液状成分が貯留したものです。腎臓のどの部分にできているかで、症状がある場合と無い場合があります。血尿の原因になることがありますが、無症状のものは腹部エコーや尿検査で定期的に経過観察を受けておけば心配ありません。ただし、腎臓の癌(がん)の中には嚢胞とそっくりで、区別が困難なものがあります。そのような場合には、泌尿器科専門医が CT などの精密検査を勧めることがあります。その際は、精密検査を受けて診断を確定しておく必要があります。
腹腔鏡手術とはどのような治療ですか、安全にできますか?
腹腔鏡手術は泌尿器科領域において標準治療となっています。腹腔鏡手術は小さな傷から、カメラや器具を体内に挿入し、内視鏡操作のみで手術を行う方法です。カメラで拡大した術野を術者全員がモニター画面で確認しながら手術を行えるので、本来は安全・確実な方法であり、また術後の傷の痛みも少なく回復も早くなります。ただし、技術的にはやや難しい場合もあり、適応を正しく選択することが大切です。本院では悪性腫瘍に対する腎・尿管の摘出手術には腹腔鏡手術をおこなっています。本院は日本泌尿器科内視鏡学会により腹腔鏡下手術の技術認定を受けた認定医が3名おり、安全に手術を行っています。
冷たい水を触ったり水の音を聞くと尿が漏れそうになってしまいます。
年齢が高くなってくると膀胱が過敏な状態になって尿が近くなったり、ご質問のようないわゆる切迫性尿失禁という出が強くなることがあります。そういう状態には背景にたとえば膀胱の腫瘍だとか炎症だとか、尿路結石だとか原因になる疾患が隠れている可能性がありますので、一度当院泌尿器科を受診していただいたほうがいいと思います。