女性泌尿器について
(ロボット支援下仙骨膣固定術:RSC)

骨盤臓器脱、腹圧性尿失禁でお困りの皆様へ

骨盤臓器脱とは?

女性の骨盤底には、尿道、肛門に加えて腟という出口があります。出産や加齢で骨盤を支えている支持組織が緩むと、子宮や膣断端(子宮摘出後の場合)、膀胱、直腸が膣から出てくることがあり、これらの病気を総称して「骨盤臓器脱」と呼びます。

骨盤臓器脱とは

骨盤臓器脱の症状

最初は入浴時にピンポン玉のようなものを触れる、徐々に夕方、歩行時、排便時の下垂(骨盤臓器の脱出)が目立つようになります。四六時中、骨盤臓器を股にはさんで歩くような状態になると、擦れて出血したり、おりものが出ることもあります。また排尿障害(尿が出しにくい)や排便障害(便秘で困る)の原因ともなり得ます。

骨盤臓器脱の症状

骨盤臓器脱の治療法

軽症の場合、骨盤底体操(肛門をしめる運動)やリングペッサリー(膣内に入れる専用の器具)などにより治療されます。
中等度以上の場合、メッシュという網目状の医療用布地を用いて、垂れ下がった骨盤臓器の位置を矯正する手術治療が選択されます。主にTVM(Tension-free vaginal mesh)手術、腹腔鏡下仙骨膣固定術が日本国内で行われてきました。
TVM手術は膣の壁を切開しメッシュを挿入するため、手術時間が短く、身体の負担も少ない利点があります。一方で膣や膀胱へのメッシュ露出、膣の痛みなどの副作用があり、現在欧米諸国では禁止されている術式です。
骨盤臓器脱の治療法 腹腔鏡下仙骨膣固定術は、下の図のように膣〜子宮の壁にメッシュを固定し、上に吊り上げることにより骨盤臓器の位置を矯正します。全身麻酔が必要であるものの、成功率はTVM手術より高く、TVM手術で起こり得る合併症が少ないという利点があります。しかしながら、腹腔鏡下仙骨膣固定術は技術的に難易度が高いという欠点がありました。

令和2年4月より、最新の内視鏡手術支援ロボット「ダ・ヴィンチXi」が、骨盤臓器脱でお困りの方に対しても健康保険で行える手術になりました。当院では、保険適応となったロボット支援仙骨腟固定術を、骨盤臓器脱でお困りの方に行っています。ダ・ヴィンチは、①鮮明な3D画像、②拡大した画像、③人間の手首以上の可動域、など様々な特徴を持っています。したがって、繊細かつスムーズ、安全かつ確実な手術をすることができます。

骨盤臓器脱の治療法

骨盤臓器脱の治療法 この優れた特徴を持つダ・ヴィンチを用いて、図のような小さな傷で手術ができますので、術後の痛みも少なく、数日で退院できる非常に満足度の高い手術です。症状でお困りの方は、お気軽に泌尿器科にご相談ください。

  TVM 腹腔鏡下仙骨膣固定術 ロボット支援仙骨膣固定術
長所 ① 腰椎麻酔
② 短い手術時間
③ 膣からの手術
① 高い成功率
② TVMで見られる合併症が少ない
① 高い成功率
② TVMで見られる合併症が少ない
短所 ① メッシュの露出
② 膣の痛み
③ 性交時痛
① 全身麻酔
② 長い手術時間
③ 技術的に難しい
① 全身麻酔
② 長い手術時間

腹圧性尿失禁に対する治療

腹圧性尿失禁とは、出産や加齢で女性の骨盤底を支える支持組織が緩むことで生じる、尿が漏れる病気です。おなかに力が入ったとき(咳やくしゃみなど)に、自分の意思にかかわらず尿が漏れてしまい生活に支障をきたす状態です。多くの女性が悩んでいる病気のひとつです。
軽症であれば薬物治療や骨盤底体操が有効です。中等症以上の場合は、膀胱の頸部をテープで吊り上げ、尿失禁を治療するTVT(Tension-free vaginal tape)手術が選択されます。経膣的(腟の中からの手術です)に行う非常に体の負担の少ない手術で、90%以上の方に腹圧性尿失禁の改善が期待できます。症状でお困りの方は、泌尿器科にお気軽にご相談ください。

腹圧性尿失禁に対する治療
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